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技術コラム

記事公開日

遊技機(パチンコ・パチスロ)映像制作_パチンコ映像は、 どうやってできるのか?

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遊技機(パチンコ・パチスロ)映像制作

パチンコ映像は、
どうやってできるのか?

台の液晶に映る派手な演出映像。あれが完成するまでの流れを、9つの工程に分けて、はじめて見る人にもわかるように図解しました。

パチンコ・パチスロ台の真ん中の液晶に映る、当たりを煽るカット、キャラクターの掛け合い、大当たりの爆発。
これは「遊技機(ゆうぎき)映像」と呼ばれる、テレビCMやアニメとはひと味ちがう作り方をされる映像です。 この資料では、そんな映像ができあがるまでの仕事を、9つの工程に分けて、やさしく説明します。

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まず知っておきたい3つのこと

  • ひとつの機種の映像は、およそ 1年〜1年半 かけて作られる(並のクオリティ・物量の場合)。
  • 映像にかかる費用は、ソフト開発費全体の 3〜4割 を占めることもある、とても大きな部分。
  • 「作って終わり」ではなく、実機の中で正しく動く形まで仕上げるのがゴール。

全体の流れをつかむ

工程は大きく3つのフェーズに分かれます。まず「何を作るか」を決め、次に「素材」をつくり、最後に「仕上げて実機に載せる」。 この順番を頭に入れておくと、以下の説明がぐっと分かりやすくなります。

前半 | 何を作るかを決める
1演出企画 2絵コンテ
中盤 | 素材をつくる
3キャラ設定 4モデリング 5リグ 6アニメ
後半 | 仕上げて実機に載せる
7エフェクト 8コンポ 9オーサリング

STEP 1演出企画(えんしゅつきかく)

「どんな演出をつくるか」を決める、いちばん最初の設計図づくり。

企画会議で、演出の方向性をチーム全員で詰めていく。

演出企画:ホワイトボードの前で企画を話し合う様子

なにをする工程?

台のコンセプトや出玉設計をもとに、「液晶にどんな映像を出すか」「どこで当たりを煽るか」「当たりやすさ(信頼度)を色や演出でどう伝えるか」を、チームで話し合って文章とラフでまとめます。 ここで作るのは絵そのものではなく、遊技者がどう感じるかの設計です。

たとえるなら

家を建てるときの「間取りと使い勝手の相談」。まだ壁紙や家具は決めません。

できあがるもの
演出企画書・演出仕様書(演出の用途、シーン構成、分岐条件、チャンスアップ要素など)
つかう道具
打ち合わせ、文書ソフト(Word/PowerPoint など)、フロー図
ポイント:遊技機は発売ギリギリまで調整が続くのが特徴。あとで変えやすいように、決めすぎず余白を残しておくのがコツです。

STEP 2絵コンテ(えコンテ)

文章の企画を、コマ割りの「絵」に落とし込む。

1カットずつ、画・動き・時間を絵とメモで描き込んでいく。

絵コンテ:コマ割りの絵を描いている様子

なにをする工程?

1カットずつ、「どんな画で」「どう動いて」「何秒で」「どのタイミングで見せるか」を、絵とセリフ・効果音・尺(長さ)のメモで描き込みます。 紙の絵コンテを映像にして時間の流れを確かめる「Vコンテ(動画コンテ)」を作ることもあります。

たとえるなら

料理のレシピを、手順写真つきで書く作業。

できあがるもの
絵コンテ/Vコンテ、カット割り表
つかう道具
紙、CLIP STUDIO PAINT、Photoshop(Vコンテは After Effects)
ポイント:パチンコ映像は、ふつうの映像よりもはるかに「間(ま)」が大事。テンポが悪いと感じるくらいの“間”が、当たり判明までのドキドキをつくります。

STEP 3キャラ設定(キャラせってい)

登場するキャラクターや背景の“設計書”を描く。

正面・横・後ろの三面図や表情集で、キャラを誰が描いても同じに。

キャラ設定:キャラクターの三面図と表情集を描いている様子

なにをする工程?

キャラクターの造形・髪型・表情・衣装、色の指定、舞台や小物を細かく決めて絵にします。正面・横・後ろの三面図や表情集があると、後の工程でキャラが崩れません。 アニメなどの版権ものは、原作の世界観に合わせて調整します。

たとえるなら

舞台俳優のための「衣装とメイクの決定稿」を用意する作業。

できあがるもの
キャラ設定資料、三面図、表情集、背景イメージボード
つかう道具
CLIP STUDIO PAINT、Photoshop、Illustrator
ポイント:この設定資料が雑だと、後のアニメ工程でキャラが崩れてクオリティが下がります。納得いくまで丁寧に作るのが大事。

STEP 4モデリング

キャラや小物の“3Dの型”をつくる。

2Dの設定画をもとに、立体的な形をコンピュータの中で組み上げる。

モデリング:3Dキャラクターのポリゴンモデルを作っている様子

なにをする工程?

2Dの設定画をもとに、コンピュータの中で立体的な形(ポリゴンの網目)を組み上げます。キャラクターだけでなく、髪・服・小物・背景まで作ります。 遊技機はアニメ版権ものが多く、アニメ絵のように見せる「セルルック」のモデルを作るのが定番です。

たとえるなら

粘土でフィギュアを彫る作業を、パソコンの中でやるイメージ。

できあがるもの
3Dモデル(キャラクター・小物・背景)
つかう道具
Maya、3ds Max、Blender、ZBrush など

STEP 5リグ(リギング)

モデルに“骨と関節”を入れて、動かせるようにする。

体中に骨(ボーン)を通し、関節と操作用ハンドルを取り付ける。

3Dキャラクターに骨格と制御点を入れている様子

なにをする工程?

キャラクターの体中に骨(ボーン)を通し、腕を曲げる・まばたきする・口を動かすといった動きを再現できるようにします。顔の細かい表情用の仕掛けを作ることもあります。

たとえるなら

動かないフィギュアに、曲がる関節を取り付ける作業。

できあがるもの
動かせる3Dキャラクター(リグ済みモデル)
つかう道具
Maya、Blender など
ポイント:アニメーターが直感的に動かせるかどうかで、後の作業効率が大きく変わります。地味ですが、土台づくりの大事な工程です。

STEP 6アニメ(アニメーション)

リグを動かして、キャラクターに“演技”をさせる。

要所(キーフレーム)を打ち、間をつないで自然な動きに仕上げる。

アニメ:3Dキャラクターにキーフレームで動きをつけている様子

なにをする工程?

「ここでこのポーズ」という要所(キーフレーム)を打ち、その間をなめらかにつないでキャラクターを動かします。激しいアクションはモーションキャプチャ(人の動きをそのまま取り込む技術)を使うこともあります。 煽(あお)りや溜(た)めといった、遊技機ならではの“魅(み)せ”の間合いを作るのもこの工程です。

たとえるなら

俳優の動きを、パソコンの中のキャラクターに演じさせる作業。

できあがるもの
アニメーション付きの映像カット
つかう道具
Maya、Blender、モーションキャプチャシステム
ポイント:パチスロは遊技者が好きなタイミングで操作するため、素早く遊技しても演出の流れが伝わるように、映像の尺(長さ)を調整するのが重要です。

STEP 7エフェクト(VFX)

火花・光・爆発など、派手な“演出の味付け”を加える。

当たりを示す光の爆発やきらめきで、期待感を一気に高める。

エフェクト:光や火花のエフェクトを画面に加えている様子

なにをする工程?

当たりを示す光の爆発、きらめき、煙、稲妻、集中線など、派手なエフェクトを加えます。大切なのは、派手さと分かりやすさの両立。今がどんな状態かを、色(青・緑・赤など)や動きで遊技者に伝える役割も担います。

たとえるなら

料理の盛り付けとソース。「当たり期待度」という“味”が伝わるように見せる作業。

できあがるもの
エフェクト素材
つかう道具
Houdini、FumeFX、Krakatoa、After Effects など
ポイント:遊技機は「止めることが悪」と言われるほど派手さが求められますが、効果を足しすぎると画面が白飛びして見づらくなります。要素を整理して、派手なのにクッキリ見えるのがプロの技。

STEP 8コンポ(コンポジット)

バラバラの素材を、1枚の映像に“重ねて仕上げる”。

背景・キャラ・エフェクト・UIを重ね、色味と明るさを整える。

コンポ:複数の素材をレイヤーで重ねて仕上げている様子

なにをする工程?

背景+キャラクター+エフェクト+UI(文字や図柄)などの素材を、レイヤーで重ね合わせ、色味や明るさを整えて1本の映像に仕上げます。遊技機は、高輝度・高コントラスト・高彩度の“こってり”した画が定番です。

たとえるなら

別々に作った具材を、味を整えながら一皿に盛りつける作業。

できあがるもの
完成した1本の映像カット
つかう道具
After Effects、Nuke など
ポイント:液晶に映すと、台本体の影や周囲の照明のせいで、データより暗く見えてしまいます。そのぶん、あえて派手に仕上げるのが遊技機流です。

STEP 9オーサリング

バラバラの映像を、実機で動く“演出”として組み上げる。

カット・UI・効果音をひも付けし、実機で動く演出データに仕上げる。

オーサリング:映像素材を実機に組み込む様子

なにをする工程?

カットをつないだり、当たり判定のタイミングで映像を切り替えたり、UI・効果音・BGMとひも付けしたりして、台の制御データに仕上げます。最後はプログラマーにデータを渡します。 一般に「オーサリング」と呼ばれる、仕上げの総仕上げの工程です。

たとえるなら

撮った素材を編集して、実際にテレビで流れる番組の形に仕上げる作業。パチンコでは“実機の中で動く形”にするのがゴール。

できあがるもの
実機組み込み用の演出データ
つかう道具
After Effects+独自の組み込みツール、実機での動作テスト
ポイント:仕様書どおりに正確につくらないと実機で動きません。映像素材と並んで、演出のクオリティを左右する大事な仕上げです。

全体のスケジュールと費用感

各工程のボリューム感を、ざっくりつかんでおきましょう(並のクオリティ・物量の一般的な液晶機を1から作る場合の目安)。

フェーズ 主な工程 この時期の主役
序盤 演出企画 → 絵コンテ 企画・演出担当(何を作るかを固める)
中盤 キャラ設定 → モデリング → リグ → アニメ デザイナー・CGアーティスト(素材をつくる)
終盤 エフェクト → コンポ → オーサリング コンポジター・組み込み担当(仕上げて載せる)

映像関連の作業には、おおよそ1年〜1年半ほどかかるとされ、ソフト開発費全体の3〜4割を占めるケースも多い、とてもウェイトの大きいセクションです。 発売ギリギリまでゲーム性や映像が調整されるため、途中の変更・追加がつきものです。

用語ミニ辞典

遊技機映像/液晶演出映像
パチンコ・パチスロ台の液晶に映る演出用の映像のこと。当たりを煽ったり、ゲーム性を伝えたりする役割を持つ。
演出企画
どんな映像・演出を出すかを決める最初の設計。文章とラフでまとめる。
Vコンテ(動画コンテ)
絵コンテを映像化したもの。動きや時間の流れ(間合い)を実際に確かめるための資料。
モデリング
3Dの立体モデルをつくる作業。
リグ(リギング)
3Dモデルに骨と関節を入れて、動かせるようにする作業。
セルルック
3Dモデルを、2Dアニメ絵のように見せる表現技法。
エフェクト(VFX)
光・火花・爆発など、画面に派手な効果を加えること。
コンポ(コンポジット)
複数の素材を重ね合わせ、色味を整えて1本の映像に仕上げる作業。
オーサリング
素材を組み合わせて、実機で動く演出データに仕上げる作業。
信頼度
その演出が出たときの「当たりやすさ」の度合い。色(青<緑<赤など)で表すことが多い。
尺(しゃく)
映像の長さ(時間)のこと。

この資料のまとめ

  1. 前半は「設計」、中盤は「素材」、後半は「仕上げ」。9工程は、この3フェーズにきれいに分かれます。
  2. どの工程も「次に渡すもの」を決めるのが仕事。設定画→3Dモデル→動くキャラ→1本の映像→実機データ、とバトンがつながります。
  3. ゴールは「実機で正しく動く」こと。派手でカッコいいだけでは終わらず、遊技者のドキドキを設計するのが遊技機映像のおもしろさです。

本資料は、パチンコ・パチスロの液晶演出映像制作の一般的な工程を、はじめて学ぶ方向けにまとめたものです。工程の名称・進め方はメーカーや制作会社によって異なります。

製造・販売元

ビーム電子工業
長野県松本市に本社を構え、
次世代ディスプレイ・光学技術を活かした製品開発を行っています。

▶ 公式サイト
https://www.beam-matsumoto.co.jp/

製品に関するご相談・デモのご要望など、
お気軽にお問い合わせください。

  

筆者紹介

小松元大

小松 元大(こまつ もとはる)1983年韓国生まれ

2011年よりビーム電子工業株式会社勤務。韓国語での対応も可能。
映像制作業務を担当し、遊技機向けや広告用など映像の提案を行う。
製品紹介動画や技術資料の作成、WEBコラム執筆、広報・情報発信も行っています。

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