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技術コラム

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虹の形はなぜ括弧(弧)なのか? プリズム効果?

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私たちが日常で目にする虹は、空にかかる美しい半円の弧の形をしています。この虹がなぜ「括弧」のように見えるのかを考えると、物理学の光学的な現象に関係しています。虹は、太陽の光が空気中の小さな水滴に入り、屈折し、反射し、再び屈折して私たちの目に届くことによって形成されます。ここでは、その基本的な仕組みと、虹がなぜ特定の形になるのかについて解説します。

1. 太陽光と水滴の相互作用

虹は、雨上がりや霧の中で太陽光が無数の水滴に入射したときに発生します。太陽光は「白色光」として知られており、実際には赤から紫までの複数の波長の光が混ざっています。これが水滴に入ると、各波長の光が異なる角度で屈折するため、光は「分散」と呼ばれる現象により色ごとに分かれます。このとき、特に重要な要素が「屈折」と「反射」の2つの光学現象です。

屈折

太陽光が水滴の表面に入る際、光の進行方向が曲がることを「屈折」といいます。このとき、光の波長により屈折角が異なるため、赤色の光は比較的小さく屈折し、紫色の光はより大きく屈折します。

反射

水滴の内側で光が反射されることで、光が水滴の内部から跳ね返り、再び屈折して外に出てくると、各波長の光が異なる角度で観察されます。この一連の過程が、虹の形成の基礎になります。

2. 虹が円形に見える理由

では、なぜ虹は「円形の弧」のように見えるのでしょうか? これは水滴が3次元的に分布しているためです。

虹を観察するとき、光は水滴内での屈折と反射によって特定の角度で目に届きます。典型的には、約42度の角度で虹の光が観察者に届くのです。この角度は、太陽光が水滴に入射して屈折し、内部で反射して再び屈折する際に決まります。水滴が空中にランダムに散らばっている場合でも、この42度の範囲内で光が反射され、結果として私たちには円形の弧として虹が見えます。

●下記絵のように主虹の赤色光で考えてみると、赤色がやってくる42度の方向を繋いでいくと、どのような形になるのでしょうか?
虹を見ている人の視点Oから見える赤色の帯の形は、角POQの大きなコンバスで描かれる半円になります。虹が円弧に見えるのは、虹それぞれの色の帯が決まった方向から見えるからです。

3. 赤色光の場合の屈折角

虹の中で一番外側に見える赤色の光は、他の色に比べて最も屈折が小さいため、最も上の部分に位置します。赤色の光が水滴内で屈折する角度は約42度です。これが、太陽と虹の間における観察者の目の位置に対応する角度であり、赤色が外側に見える理由でもあります。

一方、紫色の光は屈折角が最も大きく、約40度となるため、虹の内側に配置されます。この違いによって、虹の色が赤から紫へとグラデーションになって見えるのです。

4. 完全な円形の虹を見る方法

実際には、虹は弧ではなく完全な円形を描いています。しかし、地上からは通常、その下半分が地面によって隠れてしまうため、私たちには半円状の虹として見えます。ところが、飛行機など高い場所にいるときには、地面の影響がないため、虹が完全な円として見えることがあります。この現象は、自然の美しさと物理学の調和が感じられる瞬間です。


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水滴がプリズムとして働く原理と虹の不思議な性質

前回の記事では、虹がどのように形成され、なぜ円形の弧として見えるのかについて詳しく解説しました。今回は、さらに深く掘り下げて、水滴がプリズムのように働く原理と、虹がどれだけ追いかけても近づかない理由について説明します。

1. 水滴のプリズム効果

まず、虹ができる仕組みは水滴が自然のプリズムのように働くためです。プリズムとは、透明な物質でできた三角形のような形をしており、光を屈折させることで色を分散させる性質があります。水滴も同じように、太陽光を分光し、異なる色に分ける役割を果たします。

プリズムと水滴の共通点

プリズムに光を通すと、光は角度に応じて異なる屈折を受け、虹のような色の帯を形成します。水滴でも同じことが起こり、太陽光が水滴に入ると各波長(色)の光が異なる角度で屈折され、再び外へ出てくるときにはすでに色が分かれています。この分光作用が、私たちが虹の色を目にする理由です。

プリズム内の屈折と反射

プリズムや水滴内での屈折には2回の大きな屈折があります。最初は光が水滴の表面に入射する際、次に水滴内部で反射された光が再び外に出る際に起こります。特に水滴の場合、光は内部で1度反射され、その後、再び屈折して外に出ていきます。これにより、光は色ごとに異なる角度で屈折し、最終的に虹を形成します。

プリズム 水滴
光が屈折し、色が分かれる 光が屈折し、色が分かれる
透明な物質で三角形 空気中の球形の水滴
1度の屈折 2度の屈折と1度の反射

2. 虹が追いかけても近づかない理由

私たちはよく虹を見て、その美しさに感動し、時には「もっと近づきたい」と感じるかもしれません。しかし、どれだけ虹を追いかけても、その距離は変わらず、決して近づくことができません。なぜなら、虹は物理的にその場に「存在する」ものではないからです。

虹の観察者依存性

虹は、光の屈折と反射によって観察者の目に届く現象です。つまり、虹は水滴の中にあるわけではなく、あくまで光が特定の角度で目に入ってくることで発生します。太陽の位置、水滴、そして観察者の目の位置が揃わないと、虹は見えません。これにより、虹はどこにでも存在するものではなく、観察者が見る角度に依存した視覚的な現象として成り立っています。

例えば、別の場所にいる人が同じ虹を見ている場合、その人は別の水滴の集まりを通して虹を見ており、あなたの虹とは異なる虹を見ています。つまり、虹は観察者ごとに異なる位置に現れるため、どれだけ近づこうとしても虹は常に「遠く」に見えるのです。

虹と視角の関係

虹が見えるのは、太陽、観察者、そして水滴が正しい位置関係にあるときだけです。特に、太陽光が水滴に対して入射してから約42度の角度で反射してくるため、この特定の角度でしか虹は見えません。この角度は固定されているため、どれだけ動いても虹はそのままの距離に見えます。実際、虹の元に向かって歩いても、水滴が常に新しい場所に存在し、角度は一定に保たれるため、虹が追いかけても近づかないのです。


虹.png

 


結論

虹が括弧のように見えるのは、光が水滴に屈折し、反射される際の特定の角度と、私たちの視点によって決まります。赤色の光は約42度の角度で屈折するため、虹の外側に見え、全体として弧の形をした美しい虹が現れます。もし条件が整えば、虹が円形に見えることもありますが、それは普段は地上からは見えないため、半円の虹として捉えられるのです。



ビーム電子工業株式会社. 小松 元大

Tel: +81 263-48-1650  
Mail: m.komatsu@beam-matsumoto.co.jp


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