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技術コラム

記事公開日

紫外・赤外光に対応する特殊レンズ材の選び方

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紫外・赤外光に対応する特殊レンズ材の選び方

― カルコゲナイドガラス、フッ化物ガラスなど、波長別材料選定のポイント ―

可視光領域(およそ400〜700nm)では、一般的な光学ガラス(例:BK7、硝子系樹脂)が広く用いられますが、紫外領域(200~400nm)や赤外領域(700nm~10µm、さらに遠赤外まで)になると、通常のガラスでは透過率が著しく低下し、適切な材料の選定が欠かせません。この記事では、紫外・赤外対応の代表的な特殊レンズ材と、その波長ごとの選定ポイントを解説します。

  

  

紫外線対応のレンズ材料

1. 合成石英(シリカガラス:SiO₂)

  • 対応波長:180nm~2µm

  • 特長:優れたUV透過性を持ち、紫外線領域で最も広く使われている材料。耐熱性・耐薬品性も高く、光学的均質性にも優れています。

  • 用途:紫外レーザー、紫外顕微鏡、リソグラフィ光学系など。

2. フッ化カルシウム(CaF₂)

  • 対応波長:150nm~8µm

  • 特長:広範な波長帯域にわたって高い透過率を持ち、紫外から中赤外まで対応可能。反射防止膜との組み合わせで、さらに透過性を高められます。

  • 注意点:機械的強度はやや低く、取り扱いに注意が必要。


赤外線対応のレンズ材料

1. カルコゲナイドガラス(Chalcogenide Glass)

  • 対応波長:1.5µm~12µm(種類によっては20µm超も)

  • 主成分:硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)などのカルコゲン元素に、ゲルマニウムやヒ素などを添加。

  • 特長:非酸化物ガラスで、赤外線の透過率が高く、熱放射を観測するサーマルイメージングやセンサー光学系に利用されます。

  • 加工性:通常のガラスと比較して成形しやすく、モールド成形にも対応可能。

2. ゲルマニウム(Ge)

  • 対応波長:2µm~14µm

  • 特長:高屈折率(n ≒ 4)と高い赤外線透過率を持つため、赤外線カメラやサーマルイメージングに多用されます。

  • 注意点:高温で透過率が低下する(熱放射により自己吸収)。

3. シリコン(Si)

  • 対応波長:1.2µm~7µm

  • 特長:赤外線領域における高い機械的強度と熱伝導性を持ち、耐久性が求められる赤外光学系に適しています。赤外レーザーシステムにも使用。

波長別 材料選定のポイント

波長帯域 主な材料 特長と注意点
紫外(200~400nm) 合成石英、CaF₂ UV透過性、耐熱・耐薬品性、低吸収性
近赤外(0.7~2µm) Si、カルコゲナイドガラス レーザー光学系向き。高耐久・高屈折率。
中赤外(2~5µm) Ge、カルコゲナイドガラス、ZnSe サーマルイメージング。加工性やコストに注意。
遠赤外(5µm~) カルコゲナイドガラス、Ge 高透過性だが、熱による性能変化に注意。

選定時の実務ポイント

  1. 透過率だけでなく、屈折率・加工性・コストも考慮する
     → 高屈折率材料はコンパクトな設計が可能ですが、ARコートとの組み合わせが難しい場合があります。

  2. 量産可否・成形方法の検討
     → カルコゲナイドガラスはモールド成形に対応し、コスト面でも優位。

  3. 表面処理やコーティングとの相性
     → 高屈折率材料(Geなど)は反射損失が大きいため、ARコート設計が重要です。



光とは何か

波長による光の色の変化
光は、電磁波の一種に分類されます。電磁波のうち、波長がおよそ360〜830ナノメートルの範囲にあるものを「光」または「可視光」「可視光線」と呼び、この範囲の電磁波は人間の目で認識することができます。
目に入ってくる光は、その波長の違いによって見える色が異なります。たとえば、波長が400ナノメートル付近の光は紫、450ナノメートルでは青、550ナノメートルでは緑、630ナノメートルでは黄色、700ナノメートルでは赤といったように、波長によって色の知覚が変わります。

まとめ

紫外・赤外光に対応する光学系を設計する際には、波長ごとの透過特性を正確に把握したうえで、材料の物理特性や加工性、コストなども総合的に検討することが重要です。
単一の材料で全てをまかなうのではなく、アプリケーションや使用環境に応じて最適な材料を選び分けることが、機能性とコストパフォーマンスの両立につながります。

 

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